9月29日。
もうそろそろ学ランが必要かと思うような秋の日、俺はいつもどうりに家を出て、いつもどうりに歩いて学校へ来た。
ヒュゥウウウウウウッッッッ!!!!!!!!!
風がイヤガラセの様にふきつけ、背中にもの凄い悪寒が走る。
・・・やっぱ学ラン着てくるべきだったかな・・・・
寒さをこらえていたら、後ろのほうから、聞き覚えのある馬鹿デカい声が聞こえてきた。
「けぇーーーいっっっ!!!」
ブレザーの下にカーディガンを羽織って、おまけに暖かそうなマフラーまで巻いている少女、舞だ。
「おはよっっ!!寒そうだね?」
「別に・・・。」
確かに寒いけど・・・・お前は暑すぎるだろ?ってかマフラーって・・・・まだ9月だぞ?
「今日のHR、何するのかなぁ・・・。月末だから席替えかな???」
「さぁ・・・?」
「もし席替えだったら、あたし啓の隣が良い☆そしたら啓、数学教えてくれる?」
「あぁ・・・。」
さっきから俺は大した相槌を打っていないのに、舞は一人で満足して喋り続ける。
ヒュゥウウウウウウッッッ!!!
再び風が吹いて、舞の短いスカートが大きくめくれ上がる。
「キャァ・・・寒いっっ!!」
舞はそう言って、俺の腕を掴む。
はたから見れば、『腕を組んでいる』状態。
「ねぇねぇ、あの二人、付き合ってんのかなぁ??」
そばに居た、3組の女子が俺たちを指差して言った。