「じゃぁ、一週間お世話になりましましたぁーーっっっっ!!!!」
「『お世話になりました』だろ?」
ちょうど秋が始まる9月28日、俺の母親は、やっと退院を迎えた。
「今度入院する時は、個室にしてくださいね。」
看護婦がひきつった顔で言う。
「それより健康に気をつけて、入院しないようにして下さいね。」
医者が笑顔で言う。もしかして今度おふくろに何かあった時、入院は拒否されるんじゃないか・・・・?
「でゎ本当に、お世話になりました。」
「お世話になりました。」
母親の後に続いて会釈し、さっさと荷物を車へ詰め込む。
今年の6月に買ったばかりのトヨタのナントカって言う車は、まだ新車の匂いがする。匂いの苦手な俺にとっては、かなり苦痛だ。
「さぁて、窮屈な病院暮らしも終わった事だし、家で思いっきり羽でも伸ばすかぁ・・・・!!!!」
勘弁してくれよ・・・・。あれ以上羽を伸ばすって至難の技だぞ。
そんな俺の心の中とはうらはらに、窓から見える景色は、確実に秋に近づいていた。
・・・・また、明日から学校だ。