校門を過ぎると、もう冬かと思うほど寒い風が吹いてきた。
「寒いねぇ。。。」
普段はうるさい舞が、しんみりと言ってマフラーに顔を埋める。
クラスの奴らによると、このギャップがたまんねーらしい。
そりゃ俺だって、始めは舞に好意を抱かなかった訳でもない。
・・・でもなぁ。
度を越すと、それはただの『ウザい』になる。
「あ、小学生。」
舞が呟く。
向かいの小学校から小学生がなだれ込んできて、キャァキャァと叫ぶ。
PTAらしき人が、映画の割引券を配っている。
『彼氏と映画を見に行った帰りに・・・』
少女の母親の声が頭の中に響く。
・・・映画・・・か。
「・・・。」
「どしたの?啓。」
「啓が黙ってんのなんていつもの事じゃん。」
「いや、そーじゃなくて・・・。」
「・・・・悪りぃ、用事が出来た。さき帰ってて。」