俺が守らなきゃって思った。兄貴がいないから、律と節を守れるのは俺しかいないって思ってた。

 だから俺、ずっと頑張ってたよ。アイツから二人を守る為に。


 ──いつからだろう。


 律が、俺の守りを必要としなくなったのは。

 気づけば、律一人が犠牲になり、俺に与えられたのは、盾になる事ではなく、節に手出しをさせない事。

 自ら犠牲になる律を見ているのがつらかった。痛かった、苦しかった。

 素直に助けを求められた方が、どんなに楽だったか。

 謝る事しか出来なかった。

 守っているのではなく、守られている事に。

 俺は、無力な自分が嫌いだったんだ。


 でも、律を支えてやれる奴が現れた。律が大好きだった父さんに似た男。

 この人ならってすぐに思った。何より、律はその男の前では良い表情をしていた。


 幸せになってくれるといい。

 ずっと、ずっと。


 幸せを祈るしか出来ない俺は、いつまで経っても弟だ。





*End*