「王子、フェルナンドはもう放っておいて下さい。こいつの減らず口は、言葉の神も真っ青ですから」


「ちょお…!!先に突っ掛かてきたの王子様じゃないっすかぁ!!」


「いいから黙れ」


「へいへい、分かりましたよ。……熊さんのくせに…」


「フェルナンド!!」


ぽつりと先程アリュエインが言った言葉を言い放ち、フェルナンドは、デボンの怒鳴り声に首をすくめる真似をした後、そそくさと稽古を続ける兵士たちに紛れこんでしまいました



「…ったく」


「デボン隊長。熊とは何のことだろうか?」


「…何でもないです…」


心なしか、ショックを受けたような顔をするデボンにシークラントは不思議そうに見つめました


(なんなんだ??)


「熊さん隊長とお呼びしましょーかー?」


兵士たちの中からフェルナンドの茶化した声が聞こえ、デボンがキッと声のほうを振り向くと兵士たちは、さっと顔を背けました


皆が皆、肩がプルプルと奮えていました



「熊さん隊長ー!何すればいいっすかぁ?」


そこで姿は見えないが聞こえるフェルナンドの笑いに満ちた声と、デボンの眉がキリキリと上がっていくのを見てシークラントはやっと思い当たりました








熊というのは、デボンのことだ











「………プッ」