「んだよ、引き分けかぁ!!悔しーっ!」


そう言いつつもフェルナンドの顔は清々しそうでした。


「あはは。フェルナンドがここまで強いなんて思わなかった。」


「フォル!それ、どうゆう意味だよ〜!」


「まんまだよー。」


そして、二人で滴る汗を拭いながら笑い合いました。
引き分けという形でも、互いに全力でやったあとの爽快感を感じていました。


(気持ちいい…。まだ胸が熱い!楽しかった〜!)


アリュエインがにこにこしていたら、フェルナンドの手が頭の上にポンとおかれました。


「なに?」


「いや…、俺さお前のこと、まだ疑ってたんだけど……剣筋とかでお前が悪い奴じゃねぇって分かったからさ。…悪かったな。」


「ううん、いいんだ。警備兵だもん。それくらい人を疑わなくちゃいけないだろ?…僕、フェルナンドと試合できて良かった。また、やろうよ」


アリュエインが手を差し出すとフェルナンドも、歯を見せてニカッと笑いました。


「おぅ!」



「なかなか、いい試合だったぞ。お前達。」


「隊長。」

「デボンさん。」


デボンは二人のもとへ歩いていき、二人の頭を優しく撫でました。


「うわっ!止めろって!俺はもう二十歳すぎてんだけど!!」


「ワハハハハ!!俺から見たらお前はまだまだガキだからな!!」


「だぁーっ!」


フェルナンドが手で振り払うと腕を組み合わせました。
その顔は不機嫌そうだけど、照れているのが分かって、アリュエインはそっと笑いました。


「フォル。なかなかいい筋だ。カシェルク領主がお前を護衛に遣わした理由が分かるよ。」


(あはは…。本当は僕が守られる側なんだけど…)


「お前さえよければ、王宮警備兵に志願させたいよ。」


「僕がですか?!」