デボンの合図に、周りでガヤガヤしていた兵たちもアリュエインとフェルナンドを静かに見つめていました。


二人は剣を構えたまま、動かず相手の出方を伺っていました。


(隙がなかなか見当たらない…。仕掛けるか?いや…焦りは禁物だ)


アリュエインはフェルナンドのちょっとした動きも見逃ないよう鋭く見据えました。


二人は相手の出方を見据えたまま一向に動かず、皆、も息をひそめてその様子を見ていました。














「…はっ!!」


勢いよく踏み込んできたフェルナンドの剣をアリュエインは流して受け止めました。


そのままアリュエインもすばやく切り込んでいきました。



カンキンカキンカキンカキンカン



激しく攻防を繰り返しながら打ちあう二人の姿を兵たちは息をのんで見ていました。


アリュエインは小柄な身体を生かして、フェルナンドの力強い剣を避けたり流したりしながら、その反動を利用したスピードで切り込んでいきました。



フェルナンドはアリュエインの動きに遅れないように剣をふるっていきました。


(……っ速い!この俺が追い付くんでやっとだ)



フェルナンドは次々と繰り出されるアリュエインの鋭い切り込みを避けたり、はじいたりして防いでいました。



デボンもフェルナンドと互角…もしくはそれ以上かもしれないアリュエインの動きに目を見張っていました。


(あのフェルナンドをここまでおすとはな…。あのフォルという少年…………強い…)



兵たちは息をするのを忘れて、この二人の打ち合いに目を奪われていました。



静寂の中で、木剣が風をきる音や、打ちあう音だけがその場で響いていました。