兵士たちは一人の人物に向かって剣をふるっていました。

その人は熊のように大きくてヒゲが口周りをもじゃもじゃと覆っています。
見た目も怖そうだけど、その怒号や気迫から中身も怖そうな人でした。


(あの人…隊長とかかな?オーラが違う……。でも…見た目のまんま怖いなぁ…)


クスクス笑っていると、兵士の中には女の人が混じっているのが見えました。


女の人は黒髪を無造作結って、アリュエインのようにズボンとシャツの軽装でした。しかし、女特有の胸の膨らみや華奢な身体は隠しようもないものでした。
その人は凜とした立ち姿で兵士の一人と戦っていました。



(綺麗な人……。あんな人も兵士やってるんだ〜)



アリュエインはこの光景にくぎづけで、後ろからやってきた気配に気付きませんでした。









「ねぇ」


「ん?なに?…………って!うわぁああ!!!」



アリュエインは突然肩を叩かれて後ろを振り向くと、いつの間にか男の人が立っていました。



「君、だれ??新人?でも見ない顔だよね?」


男はアリュエインを上から下まで眺めたあと、はて?と首を傾げました。



アリュエインはというと、この場をどうのりきるかで頭がパニックになっていました。



(…ど、どうしよう!?僕の正体がばれたら…カシェルクの代表として来たのに……カシェルクに迷惑かけちゃうかも!?シャナも絶対怒るよね??……一応、城では令嬢でいるって約束しちゃったし…!)



「ねぇ?君…だぁれ?」


「…っぼ、僕は…」



「おい!フェルナンド、どうした!?……って、こいつ誰だ?」



(ぎゃー!!!熊もきたぁあ!!!)



兵士も打ち合いをやめ、なんだなんだ?とこっちを見ていました。



(も、もうダメだぁあ!)