アリュエインの朝の日課は”剣術の修行”でした。
アリュエインは小さい頃から毎日ひそかに稽古を積んでいました。だから、今ではアリュエインはもしかしたら兄以上に剣を使えるほどまでに成長していました。


アリュエインはこの朝稽古が大好きで、だからこそ毎日続けている習慣となったのでした。


王宮に来たからといって、アリュエインはこれを止めるつもりはありませんでした。


でもこれを言うとシャナのお説教があるし、何が何でもやめさせられると思い、バレナイようにアリュエインは部屋の外でやろうと思いました。



早朝で、誰も起きていない王宮はもの寂しくもあり、アリュエインの小さな靴音だけが大理石の床で音を立てていました。



(部屋を出たまではいいけど…どこでやろう?)



キョロキョロと辺りを見渡しながらアリュエインは適当な場所を捜し歩きました。



そして、少し歩いた場所に中庭へ出られるドアがありました。


キィ…












「んーっ!風がキモチイイーっ!」



ドアを開けた瞬間に感じた朝特有の冷たい風にアリュエインは、にっこり微笑みました。



「いい場所だなー」



アリュエインはここでやろう!!


と早速決めて、剣をさやに納めたまま素振りを始めました。




「ハァッ!!」
ヒュン


気合いと共に、風を切る音。

静寂の中でアリュエインはひたすらその音を繰り返していました。



「ハァッ!」
ヒュン



「ハァッ!」
ヒュン




「ハァッ!」
ヒュン



汗で肌を光らせながら、アリュエインは剣をふるいました。
こういう時のアリュエインはいつも無心で何の音も聞こえてきませんでした。



しかし、何百回目の素振りの後、どこからか金属同士がぶつかる音が聞こえました。