私の肩をそっと抱く。
さっき別の女の人を触れてた手で。
触んな、触んな。
ゆっくりと私の肩にまわされた腕をほどく。
「…拓也、別れよ。私、浮気してる人と付き合う程暇じゃないしお人好しでもない。」
拓也の手を話、その場から立つ。
部屋から出ようと歩き出すと思いきり腕を掴まれた。
とても慌てた様子で。
「ちょっと待って!ごめん、結衣!でも、あれはただの友達だから…」
「……それにちょうど良かった。あたし最近拓也より気になる人が出来たの。だから、別れた方どっちのためにもなると思う。」
「……結衣!」
頭に浮かんだのは、無愛想なあの人の顔。
ごめんねボス、嘘の理由に使っちゃって。
…ってのは、わたしの中のわたしだけの内緒な話。
「じゃあね。」