「……はは。うっそだぁ」
風の噂よ、風の噂よ。
それは嘘だと言ってくれ。
目の前に見えたのは私の知らない綺麗な女の人と拓也。
親密な仲のように腕を絡めながら外に出てきた。
『急に誘ったのにありがとね、拓也。またよろしく』
『おう、いつでも相手してやるから!』
そう挨拶を交わすと二人はキスをして別れた。
あぁ、残酷。無惨だ。
本当は拓也はそんなことする奴じゃないと思っていたのに。
しかも、急に誘ったってどういうこと?
あたしより先に約束してたって嘘だったの?
私とも会うよりもまずその女とやりたかったのか。
女なら誰でも良い?
ヤれるなら誰でも良いわけ?
所詮、そんな風にしか見てないの?
あたしは、特別じゃなかったの?