菖蒲の瞳が鋭く光る。

つかつかと棗に歩み寄ると
菖蒲は棗の頬をはたいた。


「…っ…」


長く延びた爪が唇を引っ掻く。


「おまえのその目、
おじい様にそっくりだわ。
その忌まわしい能力も
おじい様のせい。
わたしが綺麗に作ってやったのに
どんどんおじい様に似てくるわ」



ヒステリックに菖蒲が叫ぶ。
棗はただ黙って聞いていた。

こうなれば手をつけられないのは
わかっていた。


母の荒い息を聞きながら
かすれた声で棗はつぶやく。


「…申し訳ありません」