「それとも学校のうわさ通り
人の心がよめるのか?」

「……わたしは…」


棗が玲から部屋のドアへと
視線を移した。

不思議に思って
玲もドアの方を見る。


「どうした…うわっ」

棗は玲をクローゼットの方へ
引っ張っていく。

「なにするっ」

「しっ!黙って入って!」

無理やり玲をクローゼットへ
押し込め扉を閉めると同時に
部屋のドアが勢い良く開いた。


「話声がしたと思ったのですが」


菖蒲(アヤメ)は入ってすぐ
部屋をきょろきょろと見回した。

何度言っても母は決して
棗の部屋をノックしたりしない。