しんとなった教室で
担任は出席を取っていた。


さっきよりは色が減った、と
棗は考える。


感情はそのまま
意識につながるから
ぼんやりしていれば
色は薄くなるし、
逆に強く考えれば
はっきり見える。


棗も意識すれば人の感情の色が
細かく見える。


意識しないことを、意識する?


頭が混乱してきて棗は再び
窓の外に視線を移した。

とりあえず
外の風景に集中する。


それだけで少しは
入ってくる色の量が違うのだから。



雲の切れ間から太陽の光が差す。

棗の机の上にも
キラキラと光が躍った。

自分の部屋以外で
気分が悪くならないのは
久しぶりだった。