「…人の何を読むんだ?」

「感情や心とか聞きましたが
あくまでうわさなので
報告書には記載しませんでした」

心を読む…。
確かに特殊能力だが
それは答えにならないと
玲は思った。
初めて会った時から
違和感のあるような瞳で
見つめられていたことを
玲は思い出す。

「失礼します。会長、
西園寺棗が登校してきました」

生徒会室のドアが開き
背の高いがっしりとした男が
顔を出した。

わかったと言いながら
手で男に合図する。
男はそのまま頭を下げて
部屋を出ていった。

調べる前に腹ごしらえかな、
そう思いながら玲は
隣の副会長を見た。
それに気付いたのか副会長も
熱っぽい視線を玲に返してくる。

玲は何も言わずに副会長の身体を
引き寄せ彼女の唇に自分のそれを
重ねた。

広い室内に吐息だけが漏れた。