君は言ったよね。
12年前。
「キスして。」
今の言葉で言ってみれば
「S」というのだったかもしれない。
小さい私は「キス」というのが
どんな大切なものかも知らずに
君に
「キス」したよね。
照れくさそうに笑う君は
今思えば
かっこ良いような可愛いような・・。
――――――あなたは
こんな切ない恋・・
したことがありますか・?―――――
これは
私の実体験・・。
まゆみ 「ちょっ まこ遅いよ!
どうすんのー!?」
あたし 「ごめんっ; 寝坊したあ;」
まゆみ 「とりあえず走ろうよっ;」
あたし 「ごめんねまゆみー」
まゆみ 「帰りアイスおごりねー♪」
あたし 「はーい・・」
朝寝坊したあたし。
でもちゃんと待ってくれていたまゆみ。
大好きっ★
なんだかんだ言ってアイス食べんの
楽しみだなあ♪
でもね、アイス食べれなかったよ
君のせいで・・。
そう。
12年前、ふと姿を消した君のせいで――――・・・・。
まゆみ 「うっそ! 鐘鳴ってるし!!!」
あたし 「まゆみごめんねえっ」
まゆみ 「よし! 全力疾走だああ!」
あたし 「きゃーーーっ★ まゆみかっこいー」
―――――・・
ガラガラッ
まゆみ 「すいませんっ 遅れましたっ!」
先生 「ったく。 入学初日から何やってるんだ。
早く座りなさい!」
あたし 「はい・・・」
席に座ろうとするあたしに
強い視線を感じたんだ。
ふと見てみた先には
見覚えのある顔。
二重まぶたで
少し下唇が厚くて
白くて綺麗な肌に
高い鼻
その整った顔を見て
12年前の記憶がふと頭をよぎったんだ・・。
でも、
ありえないと思った。
小声で
「はい。 ありえなーい」
そう自分に言った。
その時の私は、その人が誰だかわかってたんだ。
再び再会してしまったという
事実を受け止めたくなかったから。
嬉しいはずなのに
なんだか嬉しくない。
はっきりしない自分にムカついた。
よく恋愛系のドラマで見る
「自分で自分が分からない」
綺麗ごとに聞こえていたこの言葉。
今頃意味に気付いた――――・・。
それから
先生が明日、なんかの練習がある
とか言ってたけど
まともに聞いていられなかった。
だって
今から約1時間前
信じられない事実を知ってしまったから。
これは誰にも言えない。
いや・。
言いたくない。
彼とあたしだけの秘密にしておきたいから。
言いたくない。
まゆみ・・
ごめんね。
こんな性格のあたしに
何年間も付いていてくれて。
大好きだよ・・・。
大好きという言葉。
12年前は彼に言ってたよね。
今は、この言葉
まゆみと彼、どっちに当てはまるのだろう。
やっぱり
自分が分からない。
答えはいつ見つけられるんだろう。
こう考えてるうちに
嫌な感情が出てしまう。
彼と出会わなければよかった――――・・。