でも子どもたちが行っても
大人は集まらないわけで。

「あなたたち高校生?」

「はい、そうです」

「大変ねぇ」

こんな会話が始まることは
よくある話だった。

しかもパン食い競争が終わった子どもから
また戻ってくるのであった。

「ねぇ、このヘルメット外せるんでしょ?」

覆面だけどね…
ちなみに実花ちゃんの手作り、って
そんな場合じゃない。

「おいかけろー!」

「やめなさーい!」

みんなに追いかけられた。
こんなに走ったのは初めてかもしれない。
小学校の運動会より走ったと思う。

ここで声を出すにも
さっきのアニメ声を出さなきゃいけない訳で。

「ヒーローの顔は秘密なんだよ」
自分が気持ち悪い。
でも喋ってしまった自分が嫌。

「ほらほら、追いかけないの」
そう言って止める保護者の人たち。
次々と追いかけるのを止める子どもたち。

ちなみにその時私の横には母親がいた。
間違いなく。