隙間からしか見えないが
写真を撮りたい人たちの列が出来ている。

「あの、イエローは…」

「ちょっと待ってください、今休憩中で」

ヤベぇ!っていうリアクションをする葉平。

「それよりもおねえちゃん、
 俺と写真撮らない?」

「ピンクがいい」

その女の子はピンクと写真を撮っていった。
実花ちゃんはかわいそうなことに
また大げさな怪しいポーズを取っていた。

「あたしレッドがいい」

「俺ブルーがいいな」

「グリーン一緒に撮ろうよ」

良い感じ。良い感じ。
このまま行ってほしいな…

「イエローと撮りたい」

私は倉庫の中にいる。
写真を撮っているのはそこから数メートルの所。

出るべき?これって。

清水の舞台から飛び降りるつもりで
私は外に飛び出した。

「イエローだ!」
写真を撮りたがってた子は大喜び。

でもその隣で
弟がブルーと写真を撮っていた。

写真を撮っていたのは私の母親で。
下手なことしたらバレる、これは。

「じゃぁ撮るよー、はい、チーズ」

もっと大変な事に気がついた。

一回出たらなかなか戻れるものじゃない。



「パン食い競争に参加する人は
 門のところに集まってください」

運動会の一番人気種目、パン食い競争。
ありがとうパン食い競争。

みんな門に集まっていった。