とーちゃんはスポーツが大好きで、昔、少年野球の監督をやっていた。
もちろん、そのチームに兄貴も俺も入っていた。
そんな監督兼父親の幹男は、ミスター(長島茂雄)の大ファンで、俺等を一茂(ミスターの息子)に重ねていたと思わせるぐらいに、厳しかった。
ユニホームを着ている時はとーちゃんを監督と呼び、敬語を使う関係に、俺等子供にとっては複雑であって、なんか新鮮な不思議な小学生時代を過ごした。
だから、俺の友達で一緒に野球をやっていた友達は、今でもとーちゃんの事を「松山監督」と呼ぶやつも少なくない。
アキラもその口の一人だ。野球のことで怒られるときは、いつも練習帰りのユニホーム姿の家の外であった。「家に帰るまでは俺はお前の父親じゃねーからな！監督だ！甘ったれんな！」と「遠足は帰るまでは遠足です！」みたいにどこかの小学校の校長みたいな事を言っては、素振りや、キャッチボールを真っ暗になるまでやっていた。
その甲斐あって俺等は野球が大好きになったし、それなりに良い成績も残せた。