『チョット待って!ジュリアンに挨拶してくる。』そう言うとマキは嬉しそうに庭に走

っていった。ジュリアンというのは六年ぐらい前に兄貴が釣に行った時に拾ってきた黒

くて目の上に茶色い模様が眉毛みたいになっている愛嬌がある愛犬である。『あ~ジュ

リアン!今晩は!うーん!うれしの!ヨシヨシ!散歩行きたいの!リュウ、ジュリアン

散歩行きたいってよ!』ジュリアンはシッポがマジで取れそうになるぐらいシッポをふ

りつづけている。ジュリアンという名前はかーちゃんが付けた。兄貴が小犬を拾ってき

たとき両親は猛反対した。『どうせあんた達世話しないでしょ!駄目よ!』と頑なに言

われたが、俺と兄貴は家の手伝いをしたりするし、ちゃんと世話をすると誓ったのだ

が、『駄目!駄目!最初だけよ。明日誰、飼ってもらえる人探してみる』とかーちゃん

は何を言っても話を聞かない白人女性みたいだった。しかし次の日になると、とーちゃ

んは犬小屋と首輪と犬用のオモチャを買ってきた。そして、かーちゃんは『ジュリア

ン!ジュリアン!』と呼んでいて、兄貴と驚いた。俺的にはもっと強そうなかっこいい

名前、例えば(ゴンザレス)とか付けたかったが、メスであることも判明したし、『ジュ

リアン』と呼ぶと嬉しそうに寄ってくるので、『ジュリアン』になっていた。