なんにもない地元の駅が少しずつ栄えてきたのは、一年ぐらい前からだ。まず、マック

ができ、つづいてスタバと、来年には駅の前に高層マンションも出来るらしい。何だか

自然と人が増えてきた気がする。昔からある焼き鳥屋は相変わらず汚いが、人が溢れる

ほどの大盛況だ。いい匂いをいつも届けてくれて、あ!地元にかえってきたんだなぁ~

って思わせてくれる。マキとチャリンコをニケツするのは久しぶりだった。『マキがこ

いであげよーか?』優しい声でいつもそういってくれるマキ。でも実際は途中で疲れて

俺にいつも変わる。『お前あんまこげねーだろ!早くのれよ!』そういって自転車をこ

ぎだした。二人乗りをするといつも決まったゲームをする。『俺、目をつぶるから右と

か左とか言って!』といつも目をつぶらずにワザトフラフラに運転しながら言うと、マ

キは『まぁたーやんの!うわぁ!りゅう、みぎ!みぎ!あぶないよー人来てる!!って

いうか目、あけてない??』とギュッと抱きついて俺の顔を覗き込んできた。その瞬間

が好きだった。そんなくだらない事をしているときも俺は幸せを感じていた。