「 え..と、 」


暖かな風が、
陽太の髪を揺らす。

静かなスローモーションは
私の大きな心臓の音と共に
未だに続いている。

すると、陽太は笑った。


「 返事は今じゃなくても
大丈夫だから、 」


黙ってる私を見かねて
言ったんだと思う。


「 ん.. 」


立ち尽くす私に
静かに「行こっか」と言って

私たちはまた歩き始めた。


長い沈黙が続いた。
それでも歩き続ける。

歩いてるうちにいつの間にか
私の家に着いてしまった。

確か、陽太の家は
反対方向。


「 あ、その..一緒に
帰ってくれて

ありがとう 」


陽太にお礼を言うのって
こんなに緊張したっけ?

緊張で目線をあわせる
事ができなかった。