「…彩夏…?」


桜寮の前までくると、
夏が待っていた。



「あ、夏っ」


私は、夏の異常に気付かなかった。


…ただ、暗いってとこかな。



「なん…でっ………
ねえ、太陽くん来てっ!」



「あっ…ちょ、夏」


いきなり夏は太陽の手を
引っ張って、どこかへ歩き出した。


…なに?


どこに行くの?


二人でなにするの?



「っ……あ、私…
用があるから行くね、お幸せにっ」

私は…
鈴達に嘘をついて、
太陽達のあとをついた。






ついた場所は、
屋上。



…何の話だろう。



「あのねっ…太陽くん…」

夏がもじもじしながら何かを言おうとしてる。


「なに?」


太陽は、相変わらずの素っ気なさ。

…でもなんだろう、

こうやって太陽が夏に冷たくしてるのを見てると
嬉しいっていうか…

楽しいっていうか…

勝った気がして…

いけないんだけど、嬉しいんだ。