「…彩夏…?」
桜寮の前までくると、
夏が待っていた。
「あ、夏っ」
私は、夏の異常に気付かなかった。
…ただ、暗いってとこかな。
「なん…でっ………
ねえ、太陽くん来てっ!」
「あっ…ちょ、夏」
いきなり夏は太陽の手を
引っ張って、どこかへ歩き出した。
…なに?
どこに行くの?
二人でなにするの?
「っ……あ、私…
用があるから行くね、お幸せにっ」
私は…
鈴達に嘘をついて、
太陽達のあとをついた。
*
ついた場所は、
屋上。
…何の話だろう。
「あのねっ…太陽くん…」
夏がもじもじしながら何かを言おうとしてる。
「なに?」
太陽は、相変わらずの素っ気なさ。
…でもなんだろう、
こうやって太陽が夏に冷たくしてるのを見てると
嬉しいっていうか…
楽しいっていうか…
勝った気がして…
いけないんだけど、嬉しいんだ。