「なんだよ、電話？」

サトシが眉間にしわを寄せながら、うるさいと言うように俺の手元を睨みつけてくる。

音を消しておくべきだったなぁと思いつつ、ポケットから電話を取り出すとそこには見たことのない番号が表示されていて。

なんとなく無視しようかとも思ったけど、目の前で早くどうにかしろと言わんばかりのサトシの睨みに負けて通話ボタンを押した。

「もしもし？」

『戸ノ先君？私、ヨウコの友達のアイって言うんだけど…』

「は？ヨウコの友達…？」

予想外の相手に、サトシの顔を見ると首をかしげながら何事？と目で訴えていて。

俺もよくわからないと首をかしげつつ、電話の向こうの声に集中するも、どこに居るのか雑音がすごくてよく聞き取れない。

『…なの。だからすぐに来て！』

「え？来てって？ごめん、よく聞こえないんだけど？」

『中央病院！』

「中央病院？」

俺の驚いた声にサトシも真顔で俺の顔を見ていて。

『すぐに来て！ヨウコが…』

「え？ヨウコがどうしたんだよ？」