翌日、朝から講義のあった俺は時間通りに大学へ行って。

お昼まで真面目に授業を受け、昼食を食べるべく一人で学食へ向かった。

窓際に座ると、朝は晴れていた空が思い雲に覆われていて。

今にも降り出しそうな空。

傘持ってきてないから、帰るまで降らないといいんだけど。

一人で外を眺めながら食べていると、どかっと音を立てて目の前の椅子に座った人がいて。

「…サトシ」

「よぉ。イロオトコ」

缶コーヒーを両手に持ったサトシは、一つを俺の前に差し出すと自分の分の缶を開けて口を付けた。

「イロオトコってなんだよ」

すべてを食べ終わってから箸を置き、サトシが持ってきた缶コーヒーに手を伸ばす。

意味ありげにニヤケているサトシに少しだけイラつきながらも、温くなった缶コーヒーを口にする。

それを確認したかのように、サトシが自分の携帯画面を俺の目の前に突きつけて来た。

「ほれ、これ」

「え…はぁ!?」

そこには暗くてよくわからないけど、それでも明らかに俺が映っていて。

「ちょ、お前、え?そばにいたのか?」

昨日のクラブ帰りのその写真には、俺と女の子が抱き合っているようにも見えて。

キスされた瞬間をしっかり映し出していた。