「タケシはさぁ。真面目すぎなの!ふわふわしててやわらかい女の子に触れたくなるのは仕方ないでしょ」

急に真顔になり、髪をかきあげながらサトシはじろっと俺をひとにらみしてから小さくため息をついた。

「少しくらい遊んでもいいと思うぞ」

「…必要ないよ、俺は」

彼女に不満はないし。

クラブで遊んでいる子が嫌いなわけでもないけど、サトシのように割り切ることもできそうにないから。

クラブだけのつながりの友人たちと久々に会い、おしゃべりなどをして終電の一本前の電車に乗って帰ることにした。

「えー、タケシくん、もう帰っちゃうの???」

今日初めて知り合った女の子が、俺の腕に自分の腕をからめて体をくっつけてくる。

こういう行為を平気でやっちゃう…計算してやってくるタイプの女の子が、どうしても苦手だ。

「明日もバイトあるし。帰るわ」

さっと彼女の腕から自分の腕を抜き取り、何もなかったかのように周りの友人たちに挨拶をして、最後にサトシに「もう少し彼女を大切にしろよ」と余計なひと言を伝えて店を出た。