「ねえ、駅までどうやって行くの?」

「荷物を持って出て行ってください」

まだ一緒に住むなんて俺は許していないんだけど。

すっと俺のそばへやってきたルナは、かわいい目で俺を見上げて首をかしげた。

「タケシ、デートしようよ」

「…荷物持ちかよ」

「頭いいんだねぇ」

くすくす笑うルナに手を取られ、玄関へと向かって引っ張られた。

何を言っても聞いてくれそうにない彼女にため息をついて、彼女の住むところが見つかるまでの数日は置いてあげよう、なんて俺もおかしいんだろうか。

彼女と一緒に駅までの道をなぜだか手までつないで歩いて。

「なーんにもないんだね、田舎!」

「もう少ししたらコンビニがあるよ」

駅前はそれなりににぎやかだけど、裏に当たるこちらは住宅街で。

お店もあまりない、確かに田舎だ。

「そっか。いつも食材はどこで買ってるの?」

「…家で食事しないから」

バイト先の居酒屋の賄いで夕飯を済ましてしまうし、朝ご飯はコーヒー飲み。

昼は学食だったりファーストフードだったり。

家で食事をすることがほとんどなく、冷蔵庫の中は水とお茶位しか入っていなかった。