結局、


市居くんへのプレゼントは、ありきたりの『ネクタイ』に決めちゃった…


就職が決まれば、きっと何本も必要になるだろうし…

あー私ってやっぱり、
貧乏性…


美容院の鏡の前で


ぼぉーっと
ピンクや赤のカーラーが巻かれた自分の髪を見ていた。


金曜日で予約が立て込んでいた隙間を
無理してお願いしたため
美耶子との約束の時間が迫っていた。


「ゴメンね、実さん
なるべく急いでやるからっ」

鏡越しに私ご指名の美容師、峰くんがしなを作って言った。


「あ、こちらこそ、無理言ってゴメンね
峰くんの腕、信用してるから任せるわ」


鏡越しにニコリと笑う。


「あ、峰くん、コレ、ここで食べさせてね」


軽く何かをお腹に入れておこうと思ってコンビニで買ったサンドイッチを手に取り
峰くんにお伺いをたてると、言葉はなく頷いた。


周りの人の視線も気になったけど、そんなことは構わずサンドイッチをパクついた。