美耶子のいる家政学部までの道のり、
周りを行き交う女子大生たちが、
前を歩く、隼人くんに視線が集中している。
やっぱり、このコって、目立つ存在なんだわー
一人感心しながら、彼のサラリと風に靡く後頭部を見ていた。
「この建物の3階の階段のすぐそばが木村先生の部屋だよ、ドアにプレートあるからすぐわかると思うよ、じゃぁね、実さん」
「あ、ありがとう」
振り返って、私に近づき肩をポンと叩き、来た道を戻ろうとしたが、
一瞬立ち止まり、私の耳元に顔を近づけ、
「実さん、素直になった方がいーよっ!
珠樹は心の広いヤツだから安心して!
飽きたら、いつでも俺が慰めてあげるからねっ!」
「っなっ・・に言ってんのよっ」
右手を上げ、彼の腕を叩こうとしたが、上手くかわされ、
逃げるように笑いながら去って行った。