怒りやら、恥ずかしいやらで体中が
 物凄く熱い。


 頭に血が上っているのが分かる。

 「いい加減に、」
 
 怒鳴ろうとして声を荒げた途端、
 遠くからパタパタとスリッパの音が
 聞こえてきた。


 校医が戻ってきたのだ。
 
 
 こんな状況を見られたら―――

 
 一気に、上っていた血が下がって
 きてしまった。


 赤くなったり青くなったりと忙しい
 美央を面白そうに見つめ、伸は再び
 耳元に顔を近づける。
 
 
 「帰り、迎えに来るからここで待っ
  てて」
  
 
 耳たぶに息がかかる。
 
 
 妙な気分になってきて、美央は
 伸から離れようともがいた。

 
 必死の抵抗をあざ笑うかのように、
 伸は耳たぶから首筋までゆっくりといる
 唇を這わせる。

 全神経が触れられている部分に集中
 しているかのように感じる。
 

 熱い。


 「やめてよ・・」

 
 力が入らない。
 
 
 「待つって約束してくれたら、これ
  以上はしないよ」
 

 ざらり、とした舌が首筋を伝う。
 
 思わず声を漏らしそうになってしまう。
 声を堪えようと、唇を噛みすぎて
 血が滲んできてしまった。