「いろいろあるんだねぇ」


感心したように彼女が言う。


「そうだね」


それに比べて私は、何の感情も抱けずにいた。


麻奈ちゃんにふる時間の流れが、私にはふっていない。


私の心の時計は、ずっと止まったままなのだ。





----あの日からずっと





「理穂ちゃん?」


「え?あ・・・ゴメン」


ボ-ッとしすぎたみたいだった。


また、思い出してしまっていたのか。


忘れたい記憶ほど、鮮明に残ってしまう。


「この部活、行ってみよ?」


「うん」


そうして何の部活かも分からず、彼女のあとについていった。