私が顔を上げると


「大丈夫か?」


1人の男の先輩が私に声をかける。


「悪い。俺なんだ、言い出したの」


「別に」


私はそう答えて、スタンプのカードを突き出す。


「早く押してください」


この学校探検は、全部のクラスにおいてあるスタンプを押さないといけない。


なんともめんどくさい行事でもあった。


「り、理穂・・・」


麻奈は私の方を見ながら、心配そうにしている。


「大丈夫だよ。早く帰ろ」


スタンプカードに手を触れようとしない男の先輩に、苛立ちさえ覚えた。


「早くしてください」


「・・・」


他の男の先輩たちは、皆黙っている。