もしかして、と思い後ろを振り返ると、そこには綺麗な黒髪と茶色の瞳の彼がいた。
「‥よぉ。久しぶりだな。」
街灯に照らされた彼の微笑む顔が見えた。
「こんばんは。今日はどうしたんですか?」
彼に尋ねると、私の方に近付いてきて
「あー‥明日から学校なんだ。なんか緊張してな。お前がいるかな‥と思って。」
少し照れた彼の顔に少し笑い、彼の言葉に喜びを感じた。
学校ってことは、大学生かな、と思ったが聞かなかった。
そんなことはどうでもいい。
彼が私に会いに来てくれた。
それだけで十分だった。
その夜、交わした言葉はほんの少し。それでも私は満たされた気持ちになった。