「‥‥帰るか。」
と、鞄を持ち上げ、椅子から立ち上がり私のほうに来た要。
「うん。」
と返事をして、荷物を鞄に入れ、足をドアの方へと進めて行く。
外にでると、人がいっぱい詰まっていて、私と要は早足に校門に向かった。
その途中途中で要は友達から、別れの言葉を貰っていた。
そんな要が少し羨ましかった。
校門に着き、一度振り返り校舎を眺める。何も思い出のない空間。
しかし、眺めていると、少しだけ悲しくなった。
もう通うことは無くなるのだ‥‥と。
空は冬色から春色に変わっていて、暖かい日差しが、卒業生を包みこんでいるようだった。
今日私は中学校を卒業した。