「では卒業生の見送りです。
 在校生は花道を作ってください。」


スピーカーが卒業生の“中学生”
としての姿を終える時を知らせた。


「ほら、彩芽。行こう。
 一番見えやすい所に並びたいんだ。」

「美優…。」


あたし達は、卒業生が出てくる
靴箱の前に並んだ。

少し待つと卒業生が出てきて、
何人かの女子は、泣いたり
何人かの男子は、握手を求めたり…。


でもあたしが見ていたのは
そんなのじゃなかった。

ただ1人___


美化委員長を務め、
誰にでも優しく、
サッカーをしてる姿は
だれよりも輝く、
山川優也くん、ただ1人。