「大丈夫か?」

「蛍…ありがと。もう、大丈夫」

蛍は涓の手をいつまでも離さないでいる。

ヒロはというと、突然の涓の変調に、ただ不安で横にいるので精一杯だった。

でも、ヒロは祈っていた。

涓が死なないように。
タカみたいにいなくならないように。

心の中で叫んでいた。

「…ありがと、ヒロさん」

「え…?」

「私、大丈夫よ」

涓はヒロに笑って、繋いでいた手を見せる。