「お母さん、よかったわね」

殺風景な部屋に置かれた、真新しい仏壇に供える。

線香の煙りがゆっくりとのぼるなか、私は片付けを再開した。

「俺もやるよ」

飲んでいたコーヒーを置いて、蛍も動き始めた。

「ありがと」

「涓(しずく)、このDVDは?」

「ああ、レンタルだから置いといていいよ」