蛍に支えられ、処置室を出た。

一人ではうまく歩けなくて…。

足はちゃんと動いてるのに、何故か引き止められてるような気がして、私は何回か振り返った。

…何も見えない。

何も聞こえない。


だけど。
…当たり前なんだけど。


「涓?どうした?」
「蛍… お願い。連れていって」
「どこに?」

私は蛍の問いには答えず、ゆっくり歩き始めた。