「よっ」 チャイムが鳴り、ドアを開けると仔犬みたいな瞳をした蛍(けい)がいた。 蛍は私の家のお隣りさん。 ようは幼なじみというもので。 ニコニコした蛍の顔につい私は微笑む。 でも、弱々しい笑顔はすぐに消えてしまう。 「荷物片付いた?」 「なんとかね、でも思ってたより荷物が多くて」 私はヤカンの蓋を開ける。