「異性に好かれてる人もいいけど、同性からも好かれてる人って、ほんとに良い人なんだなって思うんだよ、俺は。
北原さんとか秋加ちゃんとか皆、言ってた
『まどかは、良い人なんだ』って。
俺、初めて名前聞いた時に、すぐにハクチョウを思い出してさ、それから、なんか白鳥さんのこと気になって」
「―で。今もこうやって、みんなが嫌がる残業、ひとりで、引き受けちゃってさ。翌朝には課長がした仕事とか思ったりして」
「いいよ、別に。残業手当てもらえるし(笑)」
佐藤くんは、クスッと笑った。
「でも、『あの書類、本当は私がしたんだよ!』とか言わないだろ、絶対に」

この人は、もしかして私のことわかってくれてる?

「そういう 人が知らないとこで頑張ってるの、俺知ってるよ。
いつだって、給湯室で洗い物してるし、皆、どんどん置いていっても、笑顔でやってるし…ゴミがいっぱいだったら、黙って自分がかえてるし」

無意識にしてたから、と言おうとしたけど、…けど、胸がいっぱいで、もう言葉にならなかった…