ふと、外の空気に触れたくて窓を開ける。



サァァ―…


静かに雨が降っている。


「雨、降ってたんだ。気付かなかった…」




頬を撫でるひんやりとした空気。


静まり返った夜の街。


新聞配達のバイク音が遠くの方で響く。




雪乃は、夜の雨が好きだった。


昼の雨は気分を億劫にさせるけれど、夜の雨の音を聞くと、不思議と安心して眠れるのだ。