暗かったはずなのに、そこだけは鮮明に見えたんだ。 ――まるで、 僅かな光を放っているような。 「さっきの、……」 あの香りは――― もしかして “Mio” 漢字で表すと、どんな名前かは分からないけど。 “桜” この文字が入るんじゃないかと。 ――勝手に、考えてしまった。 「…へぇ、」 片方の口端を吊り上げ、妖しげに俺に微笑むヤツ。