目をこすりながら、俺のTシャツをクイッっと引っ張る。 ――小さな 小さな、手で。 「眠れないの?」 ただをこねる、子供みたいに 「んん~……」 不機嫌そうに、まだ目をこすっている。 「――…ちょっと待ってて」 眠たそうな美桜を残して俺は部屋を出た。 もうずっと…… 作ってなかったアレを作ろう。 眠れない夜限定 甘くて優しいヒミツのレシピ。 母さんがいなくなってから。 1度だって…… 作ってなかったから――。