お酒の匂いに混じる、
微かな香り。


もしかして、彼女の――?



その香りを、
明確なモノにしたのは。



暗い夜道に
落ちる白いハンカチ。


きっと……
こいつと争った時にポケットか
なんかから、落ちたんだろう。

チラリとそいつを睨みながら、そのハンカチを拾い上げる。




        ――― Mio


そこに刻まれていた、名前。



四隅には、淡いピンク色の桜の刺繍が施されていた。