ポスン、と静かな音を弾ませながら彼女を下ろした場所は――
……ベッドの上。
首を隠すように、ぐるぐる巻きにされたマフラーを小さな両手できつく握り込んでいる。
さっき見えた、はだけたシャツから覗かせた赤い痕。
図書館で聞いた話は、本当だったのか。
だと、したら―――。
「――…はい、コレ」
玄関に放りっぱなしだったカバンから例のモノを取り出して……
俯く彼女の視界の中に、そっと滑り込ます。
淡い色の刺繍が施された、サクラボタン。
「……あ、」
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