初めて会ったあの日の夜も 男たちに襲われながら こんな夜にさ迷っていたのも。 これを 探していたからなのか―― そんなに 大事なモノだったんだ。 「とりあえず、家に行くから」 そう言った直後、俺が巻いたマフラーをギュッと握りしめた。 細く歪められるその瞳には、 何かに怯えるような色を放っていた――。