「こんな時間帯にこの街を歩くなんて危険過ぎる。しかも路地を」



――それはイチバン分かってるんじゃないの?



彼女を抱き上げたまま、話しかける。


さっきまでしていた抵抗はやっと静かになり

今は黙って俺の腕の中に納まっていた。



思ってたよりすごく軽いんだ。




今まで女の子を
抱き上げた事なんてなかったし。



その小さい身体からは、
優しい体温を伝えてくれる。



「……」

唇をギュッと結んだままの彼女はいつまでたっても口を開こうとはしない。


仕方ない、か―――。