今まで、何でお兄ちゃんが私に固執するのか分からなかった。
けど、きっと理由は私にあるって分かっていたけど……。
決定的な理由が、分からなかったの。
「私のお父さんと、美空さんを出会わせてしまったのは、私」
――自分だけ、都合よくその事を忘れて。
あの日の夜に昔の出来事が鮮明にフラッシュバックしてしまった。
「小さい頃……未来のお母さんに会ったことがあ「知ってるよ」
「――え?」
信じられないし、夢の中だけど……。
母さんが、ちゃんと話してくれたんだ。
「花見の途中、迷子になったんだろ?」
――それを、母さんが助けた。
違う?そう聞くと
「嘘……」
大きな黒い瞳を、さらに大きく開いた。