一瞬、苦しそうな声を上げた美桜に急いで腕を緩める。



「未来と離れるなんて……、無理だったの……っ!」

泣きじゃくるネコを抱き上げる。



「ひっ……く…」

呼吸が乱れ始めたのを見て、背中を優しくさする。


「未来、未来……」

まるで小さい子供のように、離れようとしない美桜に心が切ない悲鳴を上げる。



「話は後で聞くから」

――今だけは、こうさせて。


今度は、優しくそっと……抱きしめた。




呼吸が落ち着いて、涙も大分治まった頃。

美桜が――ポツリポツリと話し始めた。



「あの、夜……」

“あの夜”は、俺が志月の買い物に付き合っていた日。

美桜がアイツに襲われた日だ。



「思い出した、の」