「言葉、行動、どんな些細なモノでもね」
――未来は、変わる。
小さな唇が、冷たく歪んだ。
「――なんてね。時間は進んでいるんだ。未来も君が来たことで、もう確定」
――どうあがこうが、今日の記憶は変わらない。
鏡に映るもうひとりの俺の言っていることを、瞬時に判断することは難しかった。
「やれるだけやってみればいいよ、無理だろうけど」
それでも俺には確かめたいことがある。
“ここ”に来れたからこそ、やってみる価値はある。
見た目は同じかもしれない。
でも、言動、考え方。
鏡に映る自分は、“自分”
俺は、“俺”
ふたつの人格が存在していることくらい分かる。
「……ッ」
ふと、耳に届く音。
誰かが階段を上ってくる音だ。
キィ―――……
俺の部屋のドアが、開けられた。